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朝起きたときに顎が疲れている、歯が痛む・・・そんな経験はありませんか?
実は、多くの方が睡眠中に無意識に「歯ぎしり」や「食いしばり」をしています。これらは歯や顎に大きな負担をかけ、放置すると深刻なトラブルにつながる可能性があります。
私は歯科医師として20年以上にわたり、数多くの患者さんの歯を診てきました。その中で、歯ぎしりや食いしばりによって歯が削れたり、詰め物が壊れたりするケースを数え切れないほど見てきました。
今回は、そんな歯ぎしり・食いしばりから歯を守る「夜間マウスピース(ナイトガード)」について、その効果と仕組みを詳しく解説します。
夜間マウスピースは、睡眠中に装着する専用の歯科用装置です。
「ナイトガード」とも呼ばれ、歯ぎしりや食いしばりから歯や顎を保護する役割を果たします。歯科医院で個別に製作され、患者さんの口腔内に合わせて精密に調整されるため、市販品とは異なる高い効果が期待できます。
多くの方は自分が歯ぎしりをしていることに気づいていません。しかし、歯科医師の目から見れば、歯の摩耗具合や詰め物の状態から、歯ぎしり・食いしばりの有無は一目瞭然です。
ナイトガードには主に2つのタイプがあります。
ソフトタイプは柔軟性のあるゴム製素材で作られており、装着時の違和感が少ないのが特徴です。初めてマウスピースを使用する方や、軽度の歯ぎしりの方に適しています。ただし、強い歯ぎしりや食いしばりがある場合、素材が削れやすく穴が空きやすいという欠点があります。
ハードタイプはレジンという硬い樹脂素材で作られており、耐久性に優れています。歯より柔らかい素材を使用しているため、歯ぎしりや食いしばりから歯を効果的に保護できます。装着時の違和感はソフトタイプより強い場合がありますが、使い続けるうちに慣れることが多く、歯ぎしりが強い方には特におすすめです。
ナイトガードには、歯と顎を守るための重要な効果があります。
人間の噛む力は、体重の2倍から5倍にも達すると言われています。
睡眠中の無意識な歯ぎしりでは、この強大な力が持続的に歯にかかります。体重が50kgの方なら、100kg〜250kgもの力が歯に加わっているのです。これが毎晩続けば、歯が削れていくのは当然のことです。
ナイトガードを装着すると、歯そのものではなくマウスピースが削れます。これにより、大切な歯を摩耗から守ることができるのです。また、マウスピースの削れ具合を見れば、どの部分に強い力がかかっているかも分かります。
歯ぎしりや食いしばりは、特定の歯に集中的に力がかかることが多いです。
マウスピースを装着することで、歯列全体を連結固定し、噛む力を均等に分散させることができます。これにより、1本の歯にかかる過度な負担が軽減され、歯の破折や歯根破折を防ぐことができます。
さらに、詰め物や被せ物の破損・脱離も防止できます。せっかく治療した歯が、歯ぎしりによって再び壊れてしまうのは非常に残念なことです。ナイトガードは、そうした治療の成果を長持ちさせる役割も果たします。
歯ぎしりや食いしばりは、顎関節にも大きな負担をかけます。
マウスピースを装着すると、その厚みの分だけ噛み合わせが高くなり、顎の筋肉がリラックスした状態に近づきます。これにより、歯ぎしり・食いしばりの力を弱めることができると考えられています。
実際、ナイトガードを使用し始めてから、朝起きたときの顎のだるさや疲労感が軽減したという患者さんは少なくありません。顎関節症の予防や症状の緩和にも効果が期待できます。
歯ぎしりや食いしばりによって、歯の位置が少しずつ移動することがあります。
特に歯周病などで歯が揺れている場合、その傾向は顕著です。マウスピースを装着することで、歯列全体を固定し、歯の位置の変化を防ぐことができます。場合によっては、前歯の隙間が改善されることもあります。

ナイトガードの重要性を理解するために、歯ぎしり・食いしばりが放置された場合に起こる問題を見ていきましょう。
歯ぎしりによって歯が削れると、エナメル質が薄くなり、象牙質が露出してきます。
象牙質は虫歯菌に侵されやすく、また冷たいものや熱いものがしみる知覚過敏の原因にもなります。知覚過敏が進行すると、歯磨きが困難になり、結果として虫歯のリスクが高まるという悪循環に陥ります。
歯ぎしりや食いしばりによる強い力は、詰め物や被せ物にも影響を及ぼします。
セラミックやコンポジットレジンなどの修復物が欠けたり、脱落したりするリスクが高まります。隙間から細菌が侵入すると、二次的な虫歯(再発虫歯)を引き起こす可能性もあります。
長期間にわたる歯ぎしりは、歯にひびを入れることがあります。
ひびから細菌が侵入すると、虫歯が進行しやすくなります。さらに深刻なケースでは、歯が割れてしまい、抜歯が必要になることもあります。一度失った歯は二度と戻りません。
歯ぎしりや食いしばりは、顎関節に過度な負担をかけます。
顎関節が変形したり位置がずれたりすると、口が十分に開かない、開閉時に痛みを感じる、「ガクガク」といった音がするなどの症状が現れます。さらに、噛み合わせの不具合は体全体の歪みにもつながり、頭痛、肩こり、吐き気などを引き起こす可能性があります。
ナイトガードには多くのメリットがありますが、いくつか注意すべき点もあります。
初めてマウスピースを装着する方は、違和感を覚えることが多いです。
特に就寝時の使用は、最初は寝にくさを感じるかもしれません。しかし、これは一時的なもので、時間が経過するにつれて徐々に慣れていきます。中には、マウスピースを装着したほうが安心して眠れるという方もいらっしゃいます。
ナイトガードは正しく使用しないと、効果が得られないだけでなく、逆効果になることもあります。
使用後は必ず水で洗い、清潔に保管してください。細菌が繁殖すると、口腔内の健康を損なう原因になります。また、熱湯や直射日光は避け、専用のケースで保管しましょう。変形や破損を防ぐためです。
ナイトガードは定期的に歯科医院でチェックを受ける必要があります。
噛み合わせは時間とともに変化するため、マウスピースの調整が必要になることがあります。また、マウスピースの摩耗具合を確認することで、歯ぎしりの状態を把握し、必要に応じて治療方針を見直すこともできます。

ナイトガードは効果的な対策ですが、根本的な原因にも目を向けることが大切です。
歯ぎしりや食いしばりの最も一般的な原因は、精神的なストレスです。
ヨガ、瞑想、深呼吸などのリラクゼーション法を取り入れることで、ストレスを軽減し、無意識の歯ぎしりや食いしばりを減少させることができます。交感神経が優位な状態では歯ぎしりが発生しやすいため、副交感神経を優位にする試みは非常に有効です。
規則正しい睡眠は、歯ぎしり予防に重要です。
睡眠時間不足や不規則な睡眠、入眠前の睡眠を阻害する習慣は、睡眠を浅くしてしまいます。歯ぎしりや食いしばりは眠りの浅いとき(レム睡眠時)に生じるため、深い睡眠が得られるよう習慣を見直すことが大切です。
また、カフェインやアルコールの過剰摂取は歯ぎしりを悪化させることがあるため、これらの摂取を控えることが推奨されます。
日中、無意識に歯を噛み締めていることに気づいたら、意識的にリラックスするように心がけましょう。
スマートフォンのアラームやデスクトップの付箋などでリマインダーを設定することで、定期的に顎をリラックスさせることを意識できます。意外と起きている間でも歯と歯を接触させていることが多く、それが知らないうちに食いしばりになっていたりする場合があります。
夜間マウスピース(ナイトガード)は、歯ぎしりや食いしばりから歯と顎を守る効果的な装置です。
歯のすり減り防止、負担の分散、顎関節の保護、歯の位置の保定という4つの重要な効果があります。歯ぎしりや食いしばりを放置すると、歯の摩耗、詰め物の破損、歯の破折、顎関節症など、さまざまな問題を引き起こす可能性があります。
朝起きたときに顎が疲れている、歯が痛む、詰め物がよく取れるといった症状がある方は、歯ぎしりや食いしばりをしている可能性があります。
長尾歯科医院では、患者さんの症状や状態に合わせた適切な治療を提供しています。痛みやストレスの少ない治療を心がけ、丁寧な説明とリラックスできる環境づくりに努めています。歯ぎしりや食いしばりでお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。
詳細はこちら:長尾歯科医院
長尾歯科医院 院長 長尾 浩和

https://doctorsfile.jp/h/172503/df/1
経歴
大阪教育大学附属天王寺高校
朝日大学歯学部
2008年 長尾歯科医院 開業