マウスピース矯正で抜歯が必要になるのはどんな場合?歯科医が判断基準を解説

2026.01.12

マウスピース矯正における抜歯の必要性とは

マウスピース矯正を検討される患者さんから、よくこんな質問をいただきます。

「できれば歯を抜きたくないのですが・・・」

その気持ち、よくわかります。健康な歯を抜くことに抵抗を感じるのは当然のことです。実際、マウスピース矯正は「手軽」「抜歯しなくて済む」というイメージをお持ちの方も多いかもしれません。しかし、すべての方が抜歯なしで矯正できるわけではありません。お口の状態によっては抜歯が必要になる場合もあります。

矯正治療における抜歯の判断は、単に「歯を抜く・抜かない」という二択ではありません。患者さん一人ひとりの歯並び、顎の大きさ、骨格、そして何より「どのような仕上がりを目指すか」という総合的な視点から決定されます。

この記事では、大阪・淀屋橋で矯正歯科を中心に診療を行う長尾歯科医院の院長として、マウスピース矯正における抜歯の判断基準について詳しく解説します。

抜歯が必要になる主なケース

歯を並べるスペースが不足している場合

歯の大きさと顎の大きさのバランスが悪く、歯がガタガタになってしまっている状態を「叢生(そうせい)」といいます。

このような場合、歯をきれいに並べるためのスペースが不足しています。スペースを確保するために、抜歯を検討することがあります。抜歯が必要なケースで、抜歯をせずに無理に歯を並べようとすると、歯が前に出てしまったり、歯の根に負担がかかったりする可能性があります。

顎が小さく歯が大きい方は、前方拡大によって前歯を移動させると、横顔が変化したり、口が閉じられなくなってしまったりといった弊害が生じることもあります。

出っ歯や口ゴボを改善したい場合

前歯が前に出ている出っ歯や、口元が盛り上がって見える「口ゴボ」と呼ばれる状態の場合も、抜歯が必要になるケースがあります。

抜歯によってスペースを作り、歯全体を奥へ動かすことで、理想的なEライン(鼻先と顎を結んだライン)を目指すことができます。マウスピース矯正は、前歯を後ろに移動させるのが比較的苦手な手法です。固定源が弱いため、「歯を後方へ引っ張る」動きに限界があります。

そのため、大きく歯を後退させる必要がある場合には、抜歯を伴う治療計画が推奨されることがあります。

保存できない虫歯や歯周病の歯がある場合

重度の虫歯や歯周病によって保存が難しい歯がある場合、治療の一環として抜歯が選択されます。

すでに親知らずの周囲に腫れや痛み、炎症がある場合は、矯正治療より先にその治療を優先する必要があります。抜歯によって口腔内の環境を安定させることが、矯正治療の成功につながりやすいと考えられています。

抜歯をせずに矯正できるケース

成長期のお子さまの矯正治療

成長期のお子さまは顎の骨が柔軟で、発育を利用しながら歯をきれいに並べられるため、抜歯を避けやすい傾向にあります。

ただし、上顎は床矯正といわれる装置をつけることで、ある程度歯列を広げることはできても、顎そのものは広がりません。また、下顎は骨の構造的に上顎ほど歯列を拡大することは難しいです。そのため、成長期の歯列拡大にも限度があり、その後に行う本格的な矯正治療が必ず非抜歯でできるというわけではありません。

IPRでスペースを確保できる場合

IPR(歯の表面をわずかに削る処置)を行うことで、必要なスペースを確保できることがあります。

マウスピース矯正ではIPRを行いますが、抜歯をしない矯正方針に偏るため、大きな歯の移動が必要な場合には限界があります。IPRで確保できるスペースには限度があるため、重度の叢生などでは抜歯が必要になることもあります。

奥歯を後方に移動できる場合

奥歯を後方へ移動させる「遠心移動」や、歯列の幅を広げる方法も非抜歯での矯正を可能にする選択肢です。

ただし、歯を動かすスペースが前方向以外にない場合には、前方拡大がとられるケースが多くなります。前方拡大は、前歯が内向きに倒れている歯並びや、内側に引っ込んでいる受け口の場合に有効な手法です。しかし、前方拡大には限界があり、口元が前に出すぎてしまうリスクもあります。

すきっ歯などスペースがある場合

すきっ歯のようにあらかじめ隙間があるケースは、抜歯の必要がありません。

既存のスペースを活用して歯を整えることができます。ただし、隙間の量や位置によっては、追加のスペース確保が必要になることもあります。

抜歯を行うメリットとデメリット

抜歯を行うメリット

抜歯を行うことでスペースが確保でき、難しい症例でも治療計画を立てやすくなります。

特に複雑な叢生や口元の突出を改善したい場合には、抜歯を行う方が効果的です。

治療効率が上がるため、場合によっては治療期間が短縮できることもあります。歯を大きく動かすスペースが確保できるため、理想的な仕上がりになりやすく、口元全体のバランスを整え、横顔の印象を改善しやすいというメリットもあります。また、無理に歯を並べることによる歯根への負担や、歯肉退縮のリスクを減らすことができます。

抜歯を行うデメリット

健康な歯を失うという心理的負担や、治療中の痛みや腫れは大きなデメリットです。

また、抜歯後は一時的に見た目や食事のしにくさに影響が出ることもあります。抜歯をするための身体的な負担があり、抜歯後の傷が治るまで待つ必要があるため、治療期間が長くなる傾向があります。抜歯部位によっては、治療中に隙間が目立つこともあります。

長尾歯科医院の総合的な診断アプローチ

お口全体を見て治療を考える総合診断

長尾歯科医院では、虫歯や歯周病、噛み合わせ、口臭など「気になるところだけ」ではなく、お口全体をひとつの単位として診ることで、見た目と機能、両方のバランスが取れた治療を目指します。

歯並びを整えることは、見た目のコンプレックス解消だけでなく、健康のための治療と考えています。歯が重なって磨き残しが増えると虫歯・歯周病・口臭リスクが高まります。噛み合わせのズレは頭痛・肩こり・顎関節の負担につながります。

噛みにくさは咀嚼不足による消化や全身状態への影響を及ぼすといった、お口の中だけでは終わらない問題に対して、総合的に診断して治療方針を提案します。抜歯の判断も、こうした総合的な視点から行われます。

精密な検査と最新機器による診断

レントゲンはもちろん、必要に応じてより詳しい検査を行い、一本一本の歯の状態を把握した上で治療計画を立てます。

最新の機材・薬剤を積極的に取り入れ、「今できる最善」を提供する姿勢が特徴です。精密な検査を実施し、それを分析・診断した上で治療を行うことが、適切な矯正治療には不可欠です。抜歯が必要かどうかの判断も、こうした精密な検査データに基づいて行われます。

分かりやすい説明と同意を大切に

それぞれの矯正方法のメリット・デメリット、期間や費用の目安を丁寧に説明し、ご本人が納得したうえで治療を進めることを徹底しています。

「できれば抜歯はしたくない」とお考えになるのは当然のことです。しかし、抜歯をするかしないかは、患者さまのご希望だけで決めるわけではありません。現在の歯並びやお口の状態、骨格、歯を動かせる範囲、患者さまがどのような仕上がりを望んでいるかを総合的に判断し、抜歯の必要性や抜歯する歯の種類、本数などを決定していきます。

抜歯が必要な場合でも、なぜ抜歯が必要なのか、抜歯しない場合のリスクは何か、抜歯することでどのような仕上がりが期待できるのかを丁寧にご説明します。

親知らずとマウスピース矯正の関係

親知らずが矯正に与える影響

親知らずは、永久歯の中で一番最後に生えてくる奥歯で、17〜25歳頃に生えるのが一般的です。

真っすぐ生えている場合は特に問題にならないこともありますが、スペースが足りない場合や、斜め・横向きに生える場合には、他の歯を押す力が加わり、歯並びに悪影響を与えることがあります。親知らずが横向きや斜めに生えていると、前方の歯を押して歯列が乱れる可能性があり、矯正の効果を妨げる可能性があるため、治療前に抜歯が検討されることがあります。

親知らずの抜歯が必要なケース

親知らずが斜めや横向きに生えており、手前の歯を押している状態では、矯正の効果が得られにくくなるだけでなく、むし歯や歯周病の原因にもなることがあります。

このような場合は、矯正前の抜歯が望ましいとされています。歯を後方に動かして並べる必要がある症例では、親知らずがそのスペースを妨げることがあり、特に奥歯を後方へ動かす際に支障となる場合は、抜歯を行うことで矯正計画の精度向上が期待できます。

矯正治療後に親知らずが生えてくることで、せっかく整えた歯列が再度乱れるリスクもあります。特に10代後半や20代前半での矯正の場合、親知らずがまだ骨の中にあることが多く、将来的なリスクを予測して抜歯する判断がされることもあります。親知らずの状態は、レントゲンやCTなどの検査で確認することができます。

マウスピース矯正で失敗しないために

実績と技術がある歯科医師を選ぶ

マウスピース矯正治療の成否は、治療計画や医師の技術が大きく影響してきます。

そのため、マウスピース矯正治療を受けるクリニックを選ぶ際は、マウスピース矯正の実績や技術を持つ医師が在籍するクリニックを選んだほうがよいでしょう。本来であればワイヤー矯正しなくてはいけない症例に、マウスピース矯正してしまうことで咬み合わせが悪化してしまうことがあります。抜歯の必要性を正しく判断できる医師を選ぶことが重要です。

装着時間を守る

マウスピース矯正では、1日20時間以上の装着が必要です。

決められた装着時間を守らないことで歯並びが揃わずに、歯列矯正の効果が感じられないことがあります。また、治療計画に従ってマウスピースを交換していきますが、すべてのマウスピースをきちんと装着しないことも、矯正が失敗する原因になるため、注意しましょう。装着時間が不足すると、治療期間が延びるだけでなく、計画通りに歯が動かないこともあります。

マウスピースや歯の手入れを行う

マウスピースは取り外しができるので、きちんと口腔のケアをしていれば虫歯や歯周病になることはありません。

ただし、マウスピースを付けたまま食事をしたり、マウスピースの手入れを怠ったり、歯磨きをせず口腔環境が悪化したりすることで、虫歯や歯周病になることがあります。マウスピース矯正よりも虫歯・歯周病の治療が優先され、その分矯正治療の期間が長くなってしまうケースもあります。日々のケアを怠らないことが、矯正成功の鍵となります。

長尾歯科医院の矯正メニューと料金

マウスピース矯正の種類と料金

長尾歯科医院では、透明なマウスピースを段階的に交換しながら歯を動かしていく方法を提供しています。

目立ちにくく、取り外しでき、少しずつ動かすので痛みや違和感が比較的少なめといったメリットがある一方、1日22時間以上の装着が必要で、AIシミュレーションと実際の歯の動きに差が出ることもあるため、定期的なチェックが重要になります。

料金目安は以下の通りです。

  • インビザライン® 最大 880,000円
  • クリアコレクト® 最大 770,000円
  • ローコスト® 最大 748,000円

※状態・各社診断により変動します

その他の矯正メニュー

ワイヤー矯正は、歯にブラケットという小さな装置を付け、ワイヤーで少しずつ歯を動かしていく、もっとも基本的な矯正方法です。

ブラケットやワイヤーは見えやすいというデメリットはありますが、強い力をかけられるため重度の歯並びにも対応しやすく、安定した結果を目指せるのが大きな特徴です。料金目安は片顎につき220,000円から550,000円です。

MTM(部分矯正)は、「前歯のすき間だけ気になる」「この歯だけ少し引っ込めたい」といった一部の歯だけを動かす矯正です。就寝時に床矯正装置を装着して行うタイプで、全体矯正には向きませんが、短期間・比較的抑えた費用で気になる部位を整えたい方に向いています。料金目安は1装置110,000円です。

プチ矯正(前歯だけの矯正)は、笑ったときに見える前歯だけを整える矯正です。全体の矯正ほどの期間や費用をかけずに、見た目の印象を早く変えたい方に向いています。料金目安は片顎185,000円です。

支払い方法と保証プラン

支払い方法は、現金一括、デンタルローン(ジャックス:デントキュア)、クレジットカード(一括・分割など)に対応しています。

ライフスタイルに合わせて、無理のないお支払い方法を相談できます。自費治療には2年の保証プランを設定しており、定期検診への参加を条件に、治療後も安心して通える体制を整えています。矯正治療は長期にわたるため、無理のない支払い計画を立てることが大切です。

まずは相談からで大丈夫です

「自分は本当に矯正が必要なのか」「どの方法が合っているのか」「費用や期間が心配」・・・

そんな不安や疑問があるのは当然です。

長尾歯科医院では、まずはお話を聞くところからスタートします。歯並びの悩みだけでなく、頭痛・肩こり・噛みにくさ・虫歯や歯周病の不安など、気になることは何でも相談して構いません。抜歯が必要かどうかも、精密な検査と丁寧なカウンセリングを通じて判断します。

清潔感のある院内と、あいさつと笑顔を大切にした雰囲気づくりで、「歯医者が苦手」という方でも通いやすい環境を整えています。

大阪・淀屋橋で矯正歯科をお探しなら、「見た目も健康もトータルで考えてくれる」長尾歯科医院で一度相談してみませんか?

矯正治療は、歯並びをきれいにするだけではなく、「自信」や「笑顔」「健康」を取り戻すための治療です。あなたが安心して矯正を始められるように、丁寧な説明・清潔な環境・総合的な診療・あなたに合った矯正プランを大切にしています。

「もっと笑いたい」「口元に自信を持ちたい」・・・その想いに寄り添う矯正治療を、長尾歯科医院で。

詳細はこちら:長尾歯科医院

監修医師

長尾歯科医院 院長 長尾 浩和

https://doctorsfile.jp/h/172503/df/1

経歴

大阪教育大学附属天王寺高校

朝日大学歯学部

2008年 長尾歯科医院 開業